特例の適用が厳格化
小規模宅地特例とは
平成30年度税制改正大綱において、不動産を活用した相続税対策である「小規模宅地特例」について、適用要件が厳格化されることになりました。
いわゆる小規模特例の制度とは、一定規模以下の宅地にかかる相続税評価額を引き下げる制度のことです。
被相続人が住んでいた土地なら330平方メートルまでの部分の課税価格が8割、貸付事業に使っていた土地なら200平方メートルまでの部分の価格が5割、それ以外の事業のための土地なら400平方メートルまでの価格が8割引となります。
制度の悪用に警鐘
制度の本来の趣旨は、住んでいた家を相続税負担によって出ていかざるを得なくなることにならないよう、宅地に大幅な評価減を認めることで残された家族の生活を守るものです。
ただし親から宅地を相続する子が親と同居していなくても、持ち家がない時には、特例が適用されることになっています。
そこで、子供がもともと持っていた自分の家を親族らに贈与した上で借り受け、形式上の「家なき子」となって特例措置を使う税逃れが横行していました。
特例適用による税収減の概算は16年度で1350億円と、3年で実に倍近くまで伸びているのが実情です。
平成30年税制改正大綱
こうした経緯を踏まえ平成30年度税制改正大綱では、
- 相続開始前3年以内に、3親等以内の親族か関係のある法人が所有する家に住んでいたことのある人
- 相続開始時に住んでいた家を、過去に所有していたことがある人
については、小規模宅地の特例を認めないとしました。
見直しの内容は平成30年4月以降に相続や遺贈で取得した宅地に適用されます。