小規模宅地特例が見直しか?!

税理士 相続 土地

森友学園の問題で脚光を浴びた会計検査院ですが、相続税関係でも国に鋭い指摘をしています。

具体的には、貸付用不動産にかかる相続税を最大5割減にできる「小規模宅地の特例」の適用条件が厳しくるかもしれません。会計検査院は特例が本来の趣旨に沿わないかたちで利用されていることを指摘し、国に同制度の見直しを求めました。

参照:会計検査院

 

相続税を大幅減少した事例

会計検査院が公表した資料によると、小規模宅地の特例を利用して税負担を大幅に減らした相続人の事例が紹介されています。Aさんは不動産貸付業に使われていた約200平方メートルの土地の半分を相続。特例を利用して課税価格を半額の2579万9800円に減らし、その土地にかかる相続税額を大幅に圧縮。そしてAさんは、申告期限の1カ月半後に土地を6450万円で売却しました。

Aさんの一連の行為は現行制度の枠内で行われているものですが、会計検査院は「問題あり」という判断を下しています。Aさんの利用法は制度の本来の趣旨にそぐわないと見ているためです。

 

税制改正に影響する可能性も

小規模宅地の特例の趣旨は、居住用または事業用の建物がある土地に重い税金をかけられてしまうと、納税資金を確保するためにその不動産の売却を迫られ、生活や事業のための場所から離れることを余儀なくされるおそれがあるため、税負担を軽減するというものです。会計検査院が今回特に問題視したのは、不動産貸付業に使われていた土地を相続して特例を利用した人が、その事業を短期で辞めてしまっている点です。宅地を手放さずに済むようにする目的の特例が、相続後すぐに売却した人に適用されていることを検査院は問題と見ているわけです。

会計検査院の指摘は国の施策に多大な影響を与えます。これまでどおりの制度内容だと趣旨にそぐわないケースでも使われていると国に判断され、来年以降の税制改正で新たな適用条件が付け加えられる可能性は十分あります。