相続税申告と対応

相続税申告前に相続人が亡くなった場合について、一体どうすればよいか悩まれていないでしょうか?

基本的に、相続税申告前に相続人が亡くなった場合、その相続人の遺産については、遺言書がある場合は遺言書に基づいて、ない場合は法定相続人によって相続が行われます。(福岡の相続で必要な書類はこちら

その際、相続人の死亡によって相続人の地位が消滅することにより、相続税の計算に影響が出ます。

短期間に相続が相次ぎ発生することになりますが、父、母、子二名の4名のの親族関係を考えてみましょう。

母が4月1日に死亡、父と子2人が相続人となりましたが、相続税の申告前に父も続けて8月1日に死亡した場合の相続税申告について考えてみましょう。

 

申告義務は相続人に承継される

一次相続(母)の相続税申告義務は、父と子2人にありますが、父がその後、死亡したため、父の申告義務は相続人(子2人)が承継します。子2人は、一次相続(母)の相続人として相続開始を知った日の翌日から10か月後の翌年2月1日が申告期限となります。

そして、父から承継した一次相続(母)の申告期限は、父の相続開始を知った日の翌日から10か月後の翌年6月1日となります。

なお、二次相続(父)の申告期限は、父の相続開始を知った日の翌日から10か月後の翌年6月1日となります。

ここで、二次相続とは、相続人が相続財産を相続した後に、その相続人が亡くなった場合に発生する相続のことを指します。

 

一次相続の遺産分割協議書の記載

子2人は父の権利義務を承継します。

遺産分割協議書とは、相続人間で相続財産の分割方法や相続分の取り決めを定めた書類のことを指します。一次相続(母)の場合、一次相続の被相続人(母)、二次相続の被相続人(父)の最後の本籍、最後の住所、出生日、死亡日、氏名と、相続人兼父相続人として子2人の本籍、住所、出生日、氏名が記載されます。

 

子2人は、母の遺産分割協議に参加し、父と子2人がそれぞれ、母から相続する財産、債務について遺産分割協議書を作成します。また、父が一次相続で母の財産・債務をどのように承継するかは、父の生前の希望も尊重しつつ、二次相続の承継による税負担と併せて検討することになります。

法定相続情報は被相続人ごとに作成

一次相続(母)の相続税申告書には、一次相続(母)の法定相続情報一覧図(相続人は、父と子2人)と二次相続(父)の法定相続情報一覧図(相続人は、子2人)を、それぞれ別々に作成し、添付する必要があります。

法定相続情報一覧図とは、相続において誰が相続人となるのかを明確にするために、相続人の続柄や相続分などを図式化して示したものです。法定相続情報一覧図は、相続人の数や相続分の比率を一目で把握することができるため、相続手続。

したがって一次相続(母)の法定相続情報一覧図には、被相続人は母、相続人は父と子2人の情報を記載し、二次相続(父)の法定相続情報一覧図には、被相続人は父、相続人は子2人の情報を記載します。先に死亡した母を「亡妻」と記載することもあります。2つの法定相続情報一覧図を重ねることにより、一次相続の申告は二次相続を経て子2人に承継されることが示され、遺産分割協議書の記載と整合します。