身近な方が亡くなり相続が発生すると、悲しむ間もなく次々に手続きの期限が迫ってきます。
特に令和8年(2026年)2月2日からは「所有不動産記録証明制度」が新たにスタートし、相続人が被相続人名義の不動産を全国の登記記録から一覧的に確認できるようになりました。
本記事では、福岡で相続が発生した方が「いつまでに何をすべきか」を時系列で整理し、新制度の活用方法までを解説します。
相続発生後に必ず押さえたい3つの期限

相続手続きには法律で定められた期限があり、過ぎてしまうと不利益を受けるものがあります。
まずは下記の3つを最優先で確認しましょう。
① 相続開始を知った時から3か月以内:相続放棄・限定承認
借金など負債のほうが多い場合や、相続関係を整理したい場合は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ「相続放棄」または「限定承認」の申述を行う必要があります。
被相続人の最後の住所地が福岡市内であれば、福岡家庭裁判所が管轄となります。
相続財産の内容が不明な場合や、負債の有無に不安がある場合は、早めに専門家へ相談することが重要です。
② 相続開始を知った日の翌日から4か月以内:準確定申告
被相続人にその年1月1日から死亡日までの所得があった場合、相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、税務署へ準確定申告と納税を行います。
特に、被相続人に事業所得、不動産所得、年金収入、不動産売却による所得などがあった場合は注意が必要です。
必要資料の収集に時間がかかることもあるため、早めに確認を進めましょう。
③ 死亡したことを知った日の翌日から10か月以内:相続税の申告・納付
遺産が基礎控除額を超える場合、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告と納付が必要です。
相続税の基礎控除額は、次の算式で計算します。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
相続税の申告書は、相続人の住所地ではなく、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署へ提出します。
福岡市内にお住まいだった方の相続では、福岡市の各区ごとの管轄税務署を確認して手続きを進めましょう。
参考:国税庁「国税局・税務署を調べる」
2026年2月2日スタート「所有不動産記録証明制度」とは

相続で大きな負担となるのが、「被相続人がどこにどんな不動産を持っていたか分からない」という問題です。
これを解決する制度として、令和8年(2026年)2月2日から所有不動産記録証明制度が始まりました。
この制度は、特定の人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を、全国の登記記録から検索し、一覧的に証明する制度です。
これまでは、市町村ごとに名寄帳を取り寄せるなどして不動産を確認する必要があり、遠隔地の不動産が漏れてしまうリスクがありました。所有不動産記録証明制度を活用することで、被相続人名義の不動産を全国的に把握しやすくなります。
主なポイントは次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 請求先 | 全国の法務局・地方法務局、支局、出張所 |
| 請求方法 | 窓口、郵送、オンライン請求 |
| 手数料 | 書面請求の場合、検索条件1件につき1通1,600円 |
| 必要書類 | 相続人が請求する場合は、戸籍謄本または法定相続情報一覧図、本人確認書類など |
| 活用場面 | 相続財産調査、相続登記、遺産分割協議、相続税申告の準備など |
福岡で請求される場合は、福岡法務局本局や最寄りの支局・出張所を利用できます。(福岡法務局へのアクセス)
ただし、所有不動産記録証明制度にも注意点があります。
検索対象は、所有権の登記がされている不動産に限られます。また、登記記録上の氏名・住所と検索条件が一致しない場合には抽出されないことがあり、同名の別人の不動産が含まれる可能性もあります。
そのため、この制度だけに頼るのではなく、固定資産税の課税明細書、名寄帳、権利証、登記識別情報通知、過去の売買契約書なども併せて確認することが大切です。
相続登記の義務化と過料リスク

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記が義務化されています。
相続によって不動産を取得した相続人は、原則として、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
正当な理由なく相続登記を怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
また、令和8年(2026年)4月1日からは、住所・氏名・名称の変更登記も義務化されます。
引越しや婚姻、会社名の変更などにより登記簿上の住所・氏名・名称が古いままになっている場合は、変更日から2年以内に変更登記を行う必要があります。
こちらも正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料の対象となる可能性があります。
相続登記や住所変更登記は、相続税申告とも関係する重要な手続きです。
所有不動産記録証明制度を活用して不動産の全体像を把握し、早めに対応を進めましょう。
福岡で相続手続きを進める際のポイント
福岡市は中央区・博多区を中心に、高層マンションや商業用不動産が多く、不動産評価や小規模宅地等の特例の適用判断で専門知識が求められるケースが少なくありません。
また、糸島市、春日市、大野城市、筑紫野市、太宰府市など、福岡市近郊に不動産を分散して所有されている方も多くいらっしゃいます。
そのため、相続開始後は早い段階で不動産の所在や評価額を確認し、相続税の申告が必要かどうかを判断することが大切です。
特に次のようなケースでは、早めの相談をおすすめします。
- 自宅以外にも不動産を所有している
- 貸家、アパート、月極駐車場などがある
- 被相続人が事業を営んでいた
- 相続人同士で遺産分割の話し合いが進んでいない
- 相続税がかかるかどうか分からない
- 遠方の不動産や共有不動産がある
- 生前贈与や名義預金がある可能性がある
所有不動産記録証明制度を活用して財産の全体像を早期に把握し、税理士・司法書士などの専門家と連携して進めることが、過料や追徴課税を避けるための重要なポイントです。
まとめ|「期限管理」と「全体把握」が相続成功のカギ

相続発生後は、まず次の3つの期限を意識することが重要です。
- 相続放棄・限定承認:相続開始を知った時から3か月以内
- 準確定申告:相続開始を知った日の翌日から4か月以内
- 相続税申告・納付:死亡したことを知った日の翌日から10か月以内
加えて、令和8年(2026年)2月2日から始まった所有不動産記録証明制度を活用することで、被相続人名義の不動産を全国的に把握しやすくなりました。
ただし、制度には検索上の限界もあるため、固定資産税の課税明細書や名寄帳など、他の資料と併せて確認することが大切です。
福岡で相続が発生した場合は、期限管理と財産の全体把握を早めに行い、相続税申告や相続登記に向けて計画的に準備を進めましょう。
福岡相続税申告相談室(天神駅徒歩1分)では、相続専門の税理士が初回無料でご相談を承っております。
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