一般社団法人を活用した相続対策
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行された2008年以降、一般社団法人の設立が容易になりました。
この一般社団法人の特性を利用して、一般的な方法としては次のような相続対策が急増しました。
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- 一般社団法人を設立
- 一般社団法人に被相続人所有の不動産や自社株を移動
- 相続人を一般社団法人の理事又は理事長に就任
上記2の段階において、不動産や自社株を時価で売却した場合被相続人にかなりの譲渡所得が発生したり、高額な貸付金や金銭が手元に残ったりすることが問題となりました。
しかし不動産や自社株は所得税の分離課税であり、課税は20%強となります。
また高額な貸付けは不動産収益や配当での返済や、親族理事への報酬により赤字にして債務免除することも可能でした。
更に非営利法人として認められた場合は、寄附や贈与も課税対象から外れていました。そしてこのようにして一般社団法人に移された財産は、相続財産から除かれておりました。
改正による影響
同族関係者が理事の過半数を占める特定一般社団法人等については、同族理事(理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む)が死亡した場合は、その特定一般社団法人等を個人とみなして、同族理事の数で等分した当該特定一般社団法人等の財産を、死亡した理事から遺贈により取得したものとみなし相続税を課税することなりました。
更に既にある一般社団法人等についても、特定一般社団法人等に該当すれば、平成33年4月1日以後の理事の死亡については適用するというものです。
対策としては下記の内容が取られていると言われています。
- 被相続人対象者が理事を辞め5年を超えて長生きすること。
- 同族理事の数を50%以内とする。と同時に被相続対象者は3年を超えて長生きすること。
- 上記1、2ができない時は逆に同族理事の数を増やし等分財産を少なくする。
しかし特定一般社団法人等に該当しなければ従来通りです。