相続税の税務調査とは

相続税の問題

国税庁の発表によると、平成28年7月~29年6月に実施した相続税の実地調査1万2116件のうち、80%にも上る9930件で申告漏れなどの問題が指摘されたそうです。

全体調査のうち80%を超えるので、ほとんどになんらかの問題があったことになりますのでかなりの割合でしょう。

申告漏れがこれほど発生するのは、相続税の申告は税理士にとっても難しい手続きであり、また相続人の方々が気付かなかった相続財産が後から出てくることがあるためです。

 

名義預金という問題点

相続税関連のミスを防ぐには、申告漏れが発生しやすいポイントを的確にチェックするのが近道です。相続税の申告漏れ財産の代表格としては、預金の口座名義人と実際の所有者が異なる「名義預金」が挙げられます。

被相続人が生前に通帳を管理し、入出金をしていたのであれば、たとえ家族名義の口座でも名義預金と認定され、相続税の課税対象になります。昨年度の調査でも多くの相続人が名義預金を指摘され、追徴税額を受けました。

 

海外財産も要注意

国税当局が近年監視を強めているのが海外財産です。海外資産を持つ人への調査は15年前と比べると8倍にまで増え、28年度は917件の実地調査が行われました。問題が指摘されたのはそのうち117件となっていとのことです。

調査によって申告漏れなどの問題が指摘される割合は、相続税の実地調査全体でみると82%ですが、海外財産関連の調査では12.8%にまで下がります。すなわち、国内にしか財産を持っていない相続人には高確率で問題があると分かった段階で調査に着手する一方、海外財産を持つ相続人には、問題を指摘できるかどうか不確定であっても手当たり次第に調査をしている当局の実態が見て取れます。