路線価は前年比増

国税庁から公表された2017年分の路線価及び評価倍率についての参考情報です。土地の評価に関わる路線価は、不動産のある相続税の計算に密接に関係しますので、ご参考ください。

相続 福岡市

平成29年路線価は前年比増へ

以前にもお伝えした通り、平成29年の路線価が公表されました。これによりますと、路線価平均(全国)は前年比0.4%増となっているようです。

平成27年までは7年連続の下落傾向でしたが、平成28年から29年にかけて2年連続の上昇となりました。この結果については、3月公表の公示地価と同じです。土地の価格は景気の変動を受けるため、日本経済の景気動向を反映しているということもできます。なお、以前は路線価と公示地価の前年対比率の取り方が異なっていましたが、現在は両者とも地点ごとの変動率を単純平均しており大差はないとのことです。

地価公示は「土地の取引価格の指標を与えること」を目的としており、全国で約二万六千地点の公示地価を3月に公表しています。一方、路線価は相続税や贈与税の課税価格として用いられるもので、計算の基礎となる調査地点(標準宅地)が約333,000地点です。こちらは件数も多いため、公表は7月となっています。なお、路線価の価格は公示地価の約80%程度の評価となります。

鳩居堂前の路線価は過去最高更新

29年の路線価が前年より上昇した都道府県数は13(宮城県の3.7%増が最高)。下落は32でした(秋田の2.7%減で4年連続最下位)。ただ、下落した県のうち26は下げ幅が縮小したため、全体では上昇局面とはいえます。また、路線価の最高額は、例年どおり東京都銀座の鳩居堂前でしたが、これに加えて「銀座プレイス前」などの4か所も1㎡当たり4,032万円で、バブル期の3,650万円を抜き過去最高となっています。銀座周辺はGINZA SIXの開業など再開発の著しい地域です。

◎過去3年間の鳩居堂前の路線価・前年比

平成27年分:26,960,000円(+14.2%)
平成28年分:32,000,000円(+18.7%)
平成29年分:40,320,000円(+26.0%)

地価の上昇傾向はどこまで続く?

公示地価は土地の用途別で変動率が公表されており、29年は商業地が2年連続の上昇、住宅地は下落から横ばいへ、工業地は横ばいから上昇に転じています。いずれの地域も上昇基調に転じている予感を感じさせるものです。

これらをあわせて考えると、2020年の東京オリンピックの開催で都市部の地価上昇に勢いが出てきているようです。一方、住宅に関する需要もいわゆる「団塊ジュニア世代」がマイホームの購入適齢期に入っているため、 住宅ローンの低い金利や住宅関係の税制の影響もあり、地価上昇にプラスの影響を与えている可能性があります。

ただし、住宅需要の先行指標と言われる中古マンションの指標が鈍化していることや、生産緑地指定から30年経過する平成34年には都市圏に土地が過剰供給される懸念も囁かれています。