相続税の申告状況について

今回のトピックは国税庁から公表された平成27年分相続税の申告状況についてのお話です。

 

基礎控除引下げの影響の予測と結果

相続税の税制改正により、平成27年の相続から相続税申告で大きな比重を締める基礎控除額が60%も引き下げられました。今回の公表値により、この基礎控除の大幅カットの影響がどのように影響するかが注目されていました。
亡くなられた方全体に対して相続税の申告がなされた課税割合は10年来4.1から4.4%で推移していたところ平成27年は8%と倍近い増加になっています。

福岡県の課税割合については、福岡国税局のウェブサイトから公表されています。こちらを見てみると、福岡県の相続税課税割合は、4.6%となっています。近年では、2%程度となっていた水準から一気に倍となっていることは目を引きます。

相続税 申告

(出典:福岡国税局「平成27年分の相続税の申告状況について」より一部抜粋)

 

公表結果値の概要

死亡者数は年々少しずつ増加し、ここ10年来で20%ぐらい増加しているところ、前年比では1.4%程度の増にすぎませんが、課税申告書提出件数は83.2%もの増になっています。
前年比の申告書の提出を要する課税実増加件数は46,804人で、それに対応する実増加申告財産額は32,276億円で、相続申告増加1件当たり約6,900万円です。実増加税収は4,208億円で、相続申告増加1件当たり約899万円です。

 

福岡県と全国比較をしてみると

相続税の課税申告割合は全国平均の8%に対し、福岡県は4.6%となっています。都道府県別に高い順に並べると、東京都15.7%、愛知県13.8%、神奈川県12.4%となっています。東京都のうち、都内23区に限ると16.7%となっています。

東京の場合は、6.4人に1人の割合で相続課税がなされています。逆に当道府県別に低い順を見てみるとベスト3は、秋田県2.2%、青森県2.9%、鹿児島県3.1%となっています。秋田県では、実に45.5人に1人の割合で相続課税されていることになります。

 

相続税申告割合の増加率

相続税の課税対象となる割合の高い地域が、その割合の増加率も高くなるのではないかと思われます。相続税の課税対象割合の増加率を見てみると、実は、相続税の増加変化率は東京が最低となっております。(162%)、2番目に低いのが京都府(163%)、3番目が大阪府(164%)となっています。

相続税の増加変化率の高いのは、富山県が最も高く(246%)、次いで秋田県(244%)、そして青森県(223%)と続きます。

この結果を見ると、都市圏以外の各県(福岡県を含む)に相続税の影響が及んでいることがよくわかります。